2009年の荒磯釜は、
お客様をお迎えして
とても風流な 月見の茶会になった。
海から月が昇る刻限に合わせ
客人のサムライが茶を点てる。
水平線から昇る名月は
銀色の光の河となって
波打ち際まで きらめく
なんとも風流で ときめく茶席だ。
月が高くなり
お客様を見送りしてからは
ひとり侘数寄の たのしみ
深夜の2時まで
荒磯釜に座る
満月に太平洋の荒波は 怪しく輝き、
太古から変わらぬ 原風景のままの砂浜は
侘数寄常住そのものだ。
「無」の世界に浸ることは、
一方では 限りなく
無限の「存在」を感じる時でもある。



「侘数寄常住 荒磯釜」 岩手県宮古市松月浜
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