2010年の荒磯釜は、荒れる浜辺での 「朝茶」になった。
「 雷 乃 収 声 (らいすなわちこえをおさむ) 」
七十二候では 「 この頃より雷が鳴らなくなる 」
・・・・のはずが、超低気圧の発生で大荒れの海辺。
今回は、「立待月」 の風流をあきらめ、
明け方の荒波と対峙する事にした。
いつもは準備に2時間はかかる
本格的な砂と石でつくる炭火炉だが
今回の荒磯釜は、野点のために特別に創作した炉道具である。
大切な茶道具の釜にも全くダメージを与えないクリーンな燃料で、
ほんの30分ほどで、釜が鳴りはじめる。
「茶の湯とは たゞ湯をわかして茶をたてて のむばかりなる事としるべし」 (利休百首)
大荒れの太平洋の荒波を前に茶を点てるのは、
相伴無き「独茶」ならではの風流。
大自然の中に、こだわりの信念を打ち込むような茶事は、
「乱世の茶」に憧れる 男の茶之湯の本懐でもある。