THE WAY OF TEA
宗梯 侘数寄常住 男の茶之湯



雲中の方丈


私が「方丈」をはじめて体感したのは、

岩鷲山に献茶奉納をしたときであります。


おりからの台風で

空は不気味に黒く、


真闇と濃霧に包まれた雲中の山頂は、

どんなに強力なライトで照らそうが、

霧に反射されて、3m先さえ見えない、

閉ざされた世界でした。


献茶が終わり、


まさに霧の結界に囲まれた小間に座る心持で、

一碗の茶を飲んだとき、


その結界の向こうに、


無限宇宙が広がっているのを体感したのであります。


維摩居士の方丈。

茶室の小間の意味に、


気が付いたときであります。




岩鷲山 雲中の方丈
(岩手山:標高2,038m 山頂の石仏)